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【コラム】「100年住宅」①

100年住宅

100年住宅という言葉は、このところかなりあちらこちらで使われるようになってきました。今から30年ほど前に、某住宅メーカーの社長が使い出したと言われるこの言葉は、すでに一般的な概念として定着してきており、先だっても国土交通省が「200年住宅構想」なる計画を発表し話題となりました。

とはいえ、いくら言葉が一般化されたところで具体的にどのような住宅を指すのか、ご存知ない方も多いと思われます。率直なところ、私たちビルダーの中でもしっかりと把握している者が少ない傾向にあります(これを書いている私も同様です)ので、この際整理してきちんと理解する必要があります。

 

100年

100年という年月はずいぶん長い期間ではあります。2021年現在から100年さかのぼると1921年、大正10年となります。大日本蹴球協会(現 日本サッカー協会)ができたり、魯迅「阿Q正伝」が執筆されたりと、教科書に登場する出来事があったような、ものすごい時代です。つまり、それくらいの期間使っていられるような住まいづくりをしていこう。という事です。もちろん100年前から、いやそれ以上長い期間保たれている建築物は、私たちの身近にたくさんあります。奈良の法隆寺など一部ではありますが、1300年も前に建てられたもので、世界最古の木造建築物としても知られております。

 

法隆寺

ただ、法隆寺のように文化財として保護されているものは、人手もお金もかけられる特別な存在といえます。そのような建築物ではなく、100年、200年前からそこにあり、現在も使われ稼働しているものもたくさんあります。

住宅として、あるいは商業施設として長く使われている建築物に共通している事はお住まいの方、使われている方あるいは地域の方から愛され、大事にされているところにあります。それは常に清掃され、細々としたメンテナンスが行われている、という事を意味します。瓦を直しペンキを塗り、壁や床の破れを整え使い勝手も構造体も常に理想的に整えられています。

現代の住宅でも同様に、いやそれ以上に長く使われる事が要求されています。地球温暖化の防止、二酸化炭素の削減、あるいは持続可能な社会の達成といった社会的な要請もありますが、高いお金と労苦を重ねて作り上げた住宅です。いつまでも美しく使い続けられた方がよいに決まっています。

 

美しく長く使い続ける

美しく長く使い続けるとは具体的にどういった事を指すのでしょうか。耐震性・耐久性に優れているのは当然ですが、それ以外に重要な要素があります。いくつも挙げられますが、突き詰めれば以下の2点に集約されます。

1.世代交代に対応しやすい間取り

 

2.メンテナンスが容易な設備・配管計画

 

ではこれからこれらについてお話ししましょう。