【コラム】図面は約束事のかたまり?②
ショッキングな話題
ここで少々ショッキングなお話をいたします。それは、今までご説明差し上げた図面類はすべて、うそを描いたものだという事です。うそとはずいぶん物騒な事を言いましたが、これは騙してやろうとか、けっして悪気のある事ではありません。そのようにしないと図面一枚、まともに描くことも出来ないからです。
スケール
例えば先ほどからスケールという言葉が出てきました。縮尺といった言葉を使う場合もあります。1:100は実際の寸法を100で割った数値で描いたもの、1:50は50で、1:20は20でとなります。どれほど小さな建物であっても、実際の寸法で1枚の紙に描ききれるはずがありません。したがって所定の縮尺で、扱いやすいように描くというの約束になっています。
約束事
平面図も同様です。壁の向こう側を直接観たり、建物の上空からのぞき込むといったアクロバットな事ができない以上、全体を把握するためにやむを得ず床からおよそ1メートルくらいのところを切断した、という約束事を基に描いているだけで実際にこのような光景を観ることは出来ません。人間の眼は遠近法でものを見るように出来ています。近ければ近いほど大きく、遠く離れれば小さく。下の方向は大きく、上に行けば行くほど小さく見えることで物を立体として感じることが出来、的確に認識する事ができます。したがって立面図や展開図に関しては、かなり近いものを目視することができる場合がありますが、これも約束事に基づいて描かれた結果で、実際の姿ではありません。その他の図面もすべて同様です。円滑に作業を進めるための方便とも言うべき事なのです。また、別に詳細図が用意されている場合など、その部分をあえて省く場合もあります。
お客様からのご指摘
じつはたまにですが、お客様より
「この図面と実際には違うじゃないか」
とのご指摘をいただく事があります。確かに実際にある線が描かれていない、省略されている場合もあります。どのような内容であれ、お客様よりいただいた言葉はなによりも価値の高いものですし、うそなどあってはならない事です。しかし、こればかりはやむを得ない事なのです。何とぞご寛容のほどお願い申し上げます。
追伸
もっとも、たまに本当に間違えている場合もあります。すみません私、そそっかしいもので、とか急いでいたもので、人間間違いはかならずあります!などと言い訳してしまうことが多いのですが、これもあってはならない事なので、出来るだけミスのないよう努めていく所存であります