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コラム

【コラム】100年住宅③

内部と外部

 

例えば屋根や外壁といった外装材ですが、建物の内部と外部はかくも違うものかと驚くほど、その環境は一変します。外部は雨や風、時として雪や雹、紫外線にさらされ続けます。屋根の上など夏の暑い時は100℃近い温度となり、冬場はマイナスにまで下がり、年間の温度差でいえば120℃も上下するというデータもあります。そのような過酷な状況下で何十年も長持ちする資材はなかなかありません。もちろん、現代の資材性能も上がって来ているので、そうは簡単に傷みませんが、何年かおきには必ずなんらかのメンテナンスが必要になります。

 

設備について

同様に設備材も決して長持ちするものではありません。鉄分の多い地域の水道給水管は錆などで詰まり(塩ビライニング鋼管の登場で改善されてはきましたが)、キッチンやユニットバス、トイレは蛇口など稼働部が壊れどうしてもメンテナンスが必要となります。また先に申し上げたように改修の際に、構造体以上に移設が不能となるケースもあります。以上を容易に行うために、最初から配慮すべきポイントは構造体と仕上、設備系統などを最初から分離した工法あるいはプランニングをするというにつきます。

 

スケルトン・インフィル

構造体はしっかり高強度・高耐久な工法とし、その他の箇所と関係なく作り上げる。近年描かれた図面、とくに平面図をご覧になった事がある方はご存知かもしれませんが、部屋の片隅に「PS」あるいは「DS」と名づけられた箇所がある場合があります。これは各々「パイプスペース」「ダクトスペース」の略称で、前者は水道の給排水管を通す場所、後者は空調設備のダクトを通す場所を意味します。双方を兼ねて設置する場合もありますが、これは構造的にと設備系統を分離してメンテナンスや改修を行いやすくした手法の一例です。

こういった考え方をスケルトン・インフィル(Skeleton Infill)といいます。スケルトンは建物の構造躯体、インフィルは内装や設備系統を意味します。

 

昔のはなし

昔はこういう点がかなり無頓着に作られておりました。2階にトイレを設置する際に、配管を壁の中に通したりと、割と平気に行っていたりしたものです。これは構造体である梁や柱を現場で削り込んだりする事に繋がったり、メンテナンスな改修に対応しづらかったりとあまりお勧めできる手法ではありません。※現代でもやむを得ず行う場合もありますが、その際には構造体を出来るだけ傷めず、傷めたとしても最低限に止め全体的な強度に影響ないよう作ります。

 

難しいことを申し上げましたが、これが意外と簡単な事でもあります。技術というよりもちょっとした発想の転換や注意といった事で成し遂げられるものでもあります。美しく長く使い続けられる、100年使い続けられる家までの道のりは、長いようでわりと短いものであるのかもしれませんね。

[この稿はこれで終了です]